2018年1月28日放送

教えて!ドクター

(愛知淑徳大学 心理学部教授 古井 景 先生)

★1月のテーマ「発達障害」
<治療の現状>
 心の見方には二通りありまして、精神科的に言いますと、脳の神経に目を向けて考えます。ですから「心のクリニック」に行きますと、脳の神経伝達物質を整えるために、薬を中心に対応します。泣いたり、悲しんだり、不安になったりという私達が日頃思う心の問題には、臨床心理面接、カウンセリングによって対応することになります。2回目の時に話をしました脳の神経の問題として位置づけられる「自閉症」「学習障害」「ADHD」であれば、医学的、脳神経学的対応として薬を使い、本人の興奮が静まり落ち着いて物事に関われるように支援を行っていきます。小児神経科や児童精神科の先生と相談されるといいと思います。近年、効果的な薬剤が増え、種類もいくつかあります。もう一つの心の問題である、不安や緊張が強く、情緒的に人とうまく関われないという問題は、薬で治すことはできません。臨床心理士の先生との間での臨床心理面接で対応し、また、お母さんが不安や悩みを抱いておられるのでしたら、臨床心理面接で一緒に解決していくことになります。平成27年に法律が成立し、平成30年から「公認心理師」という国家資格が始まります。今までは臨床心理士は民間の認定資格でしたが、今後は、国家資格を持つ医師と共に国家資格を持つ情緒の専門家である心理師が連携をもって対応にあたることになります。国家資格になることで、より明確な形で支援体制が整っていくのではないかと考えています。現状では、臨床心理士の面接は医療行為とは位置づけられていませんので、医療機関と臨床心理機関を分けて考える必要があります。臨床心理士を養成している大学院に臨床心理相談機関がありますので、相談の窓口として活用されることをお勧めいたします。例えば愛知淑徳大学ですと、愛知淑徳大学クリニックで医学的治療をうけ、隣接の愛知淑徳大学心理臨床相談室で臨床心理面接をうけるということになります。

スマイルリポート〜地域の医療スタッフ探訪

川瀬 進也 さん (偕行会リハビリテーション病院 在宅支援リハビリテーション課長) 

<力を入れて取り組んでいる事>
 在宅支援リハビリテーション課の一員として訪問リハビリテーション業務と地域福祉活動を中心に行っています。訪問リハビリテーションは住み慣れた地域、ご自宅で自分らしい生活を末長く続けられるよう、ご自宅に伺ってリハビリテーションを行います。理学療法士は立ち上がる、歩く等の基本動作の専門家ですが、単純に体の機能改善だけでなく自立支援や重症化予防の視点を大切にして利用者さんの目的、目標にそった動作訓練やご家族への介助指導を行い、生きがいのある生活を継続できるように活動しています。
<心に残るエピソード>
 当院を退院される方の退院後の訪問リハビリテーションを担当させていただく機会がありました。安全な自宅生活が送れるように、入院中の担当者が環境調整や歩行補助具の提案等を丁寧に行ってくれていました。しかし退院直後にも関わらず、提案とは全く異なる生活をされていました。つえは使用せずに歩いたり、外に自由に散歩に行ったり、畑の草取りを始めたり、車の運転まで再開していました。その時の利用者さんの表情はとても明るくいきいきとしていました。自宅生活では入院中とは違い利用者さんが今までの人生で築いてきた生活が基礎にあって、生活や支援の中心は常に利用者さんにあることを再認識した瞬間でした。私達はリハビリテーションの専門職として、人生や生活の背景をしっかりとつかみ、信頼関係のもとに利用者さんの生きがいを支援して生活の質の維持や向上を目指すことがとても大切だと学ばせていただきました。
<地域医療の課題>
 今後の社会情勢を考えると地域包括ケアシステムの構築は必要不可欠な課題だと考えています。地域社会の活動では自治体や地域包括支援センター、居宅事業所等の他施設の多くの職種との連携が欠かせません。私達は病院中心で活動しておりますけど、他施設の方と顔の見える関係を作って意見の言える関係作りが急務ではないかと考えています。また地域での介護予防の取り組みは、すでに介護予防運動指導員の方々や各地のフィットネス施設がそれぞれ取り組まれております。私達はリハビリテーション専門職としての強みを発揮して活動し、活動内容の違いを地域の住民の方に発信して周知してもらうことが課題だと考えています。