2017年8月27日放送

教えて!ドクター

(名古屋大学医学部附属病院 化学療法部 教授 安藤 雄一 先生)

★8月のテーマ「がん対策の新展開」
 新しいがん対策で注目したい点の一つとして、第1期のときから緩和ケアの充実がうたわれています。緩和ケアは日常的な場面で広がりつつあります。がんの治療は随分進歩したのですが、がんの化学療法による副作用によって様々な症状が出てきます。そういった物をいかにうまくコントロールして有効な治療を続けるかということが大事な点になってきます。今までも「緩和ケア」はあったのですが、今後は「緩和ケア」と「支持療法」、つまりがんの症状と治療による副作用を合わせてうまくコントロールするといった点も重要になってきます。緩和ケアチームは今後も重要になるのですが、緩和ケアチームだけ独立するのではなくて治療(薬物療法や手術や放射線)のチームとの連携が従来以上に重要になってきています。がんの薬物療法については第1期の計画のときから力を入れているのですが、それでも十分にがんの薬物療法の専門家が育っているとは言えません。重要なことは継続してそれまで以上に力を入れることです。もちろん今回のゲノム医療や希少がんも大事ですが、やはりがんの治療、今後は薬物療法が大変重要になってきますので、そういったことに今後も今まで以上に人材育成にも力を入れていく必要があると思います。

スマイルリポート〜地域の医療スタッフ探訪

吉田 淳 先生(吉田クリニック 院長)

<力を入れて取り組んでいる事>
 往診専門クリニックである吉田クリニックで力を入れていることは、在宅医療を中心として、在宅に関わるすべてのことに対して最善のサービスを提供していくことです。特にがん終末期の方々が在宅で最後まで安心して暮らせるように緩和ケアを中心として行っています。
<心に残るエピソード>
 まず残念なこととしては50歳代の食道がんの女性ですが、大学病院での治療を終え骨と皮の状態で退院してすぐに終末期となりました。在宅での看取りを依頼されたのですが、訪問看護師と共に家に入ったところ、すべての処置を拒否し心を通じ合うことなく数日で亡くなっております。反対に良かった方ですが、これは余命判定の難しさを示しています。機関病院であと数ヶ月の命と言われた70歳代の前立腺がん、全身骨転移、寝たきりの男性でした。数回の生命的危機を乗り越え、自宅に帰り自分で運転して東京に行く等、元気になって約2年、症状フリーで生活できました。余命判定は専門家にとっても一番難しいことですので、わたくしは「あと何ヶ月」ということはできるだけ言わないようにしております。
<現場で感じる課題>
 まず患者さんの増加によって在宅での種々の緩和ケアが必要になっています。また老々介護や単身世帯の増加により生活が成り立たなくなる場合が多いです。どのような病気を持っていても入居可能な施設が必要となります。また圧倒的な多種社会で在宅ケアの希望者が現在の年間120万人から今後170万人まで増えると予想されています。特に都市部で顕著でそれを支える在宅医、訪問看護師、ヘルパー等の人的面と最後に自宅で無理になった場合に暮らせる有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅等のインフラ面の整備が必要と考えております。