2016年7月31日放送

教えて!ドクター

(名古屋大学医学部 血管外科 古森 公浩 教授)

★7月のテーマ「大動脈の病気」
<大動脈の病気の予防>
 動脈硬化が原因と言われています。また喫煙、高血圧、慢性肺疾患との関連も報告されています。肺機能が悪い人の方がリスクファクターだという報告です。高血圧のコントロールと禁煙をすることがまず大事です。それと家族発症も原因として報告があります。兄弟で見つかった際に自分も調べてみたら見つかった、或いはご両親のうち片方が動脈瘤、また50代で喫煙歴があれば早めに検診で相談して、胸部から腹部のCTを撮る必要があります。症状がない病気ですが、今はいろんな治療がありますので、早期に見つけてフォローしていけば、大きさにもよりますし、部位によって難しい箇所もありますが、十分に治療ができます。禁煙をすること、動脈硬化や高血圧と診断されている人、また家族歴がある人は、専門医の先生に相談することが大事です。

スマイルリポート~地域の医療スタッフ探訪

安西 祐子さん(名古屋逓信病院 地域連携・医療福祉相談室 看護師長)

<力を入れて取り組んでいる事>
 私の部署は、患者さんの療養に関わるあらゆる相談を受けております。「地域連携」とは、大病院から診療所や施設まで、そして医師・看護師だけでなく、理学療法士さん、栄養士さん、社会福祉士さん、ヘルパーさん、福祉用具さんなど多職種が協力し合って、患者さんの療養生活を手助けすることです。今は、病気になってから元気になるまで1つの病院で療養することは減ってきています。大小の病院もそれぞれ得意なところや弱いところもありますし、役割が決められておりますので、患者さんのご状況に適した療養場所を選択することが必要になってきます。そのような時に患者さんがより適切な環境で療養できるように心掛けてご相談を受けています。常に私が意識しているのは、今は連携なくして医療や介護は成り立ちませんので、自分の病院のことだけを考えていてはいけないということです。地域の一部門であることを常に意識して病院外の方とも、悲嘆なく話していけるよう心掛けています。
<心に残っている経験>
 私の役割として、大病院からの急性期の治療を終えられた患者さんや、クリニックからの緊急入院患者さんをご紹介いただきまして、当院へお受け入れするというのが主な役割になりますので、入院の当日、お迎えしたら相談員へバトンタッチすることが多いです。そのために、ほとんど患者さんには言葉を覚えていただけないのが寂しいですが、その代わり、近隣の病院や施設の方には「困った時の逓信さん」と言っていただくことがありまして、その時はお役に立てているかなと思っております。
<医療現場での課題>
 先日、国勢調査に関する報道で、4人に1人が65歳以上になったとありました。この2~3年でも高齢独居、高齢者の世帯、認知症の世帯であるというご相談がとても増えておりまして、本当に高齢社会に向かっていることをまさに実感しております。気づかないうちにギリギリの状態で生活をなさっていらして、急に倒れてしまったら、その時初めて気づくお子さん達や、その後支えるご家族がいらっしゃらないということもよくある話です。どうしようもなくなってから、ご自身がどう生きていらっしゃりたいか、最期どのようにお終いになりたいかをお手伝いしようにも、ご本人の意思を確認する術がないということが関係していますので、これらの方をどうサポートしていくかが、大きな課題です。
 また逓信病院では今年度、名古屋市内では珍しい外来での「呼吸リハビリテーション」を開設いたしております。まだハード面は追いついていませんが、それでも少しずつ対象の患者さんにご来院いただいていますので、これを地域の皆さんにどう広めていくかということは、今後の連携室の大きな課題となっています。