健康ライブラリー(協力:名古屋大学医学部)

2015年10月3日放送

健康ニュースのキーワード

(CBC論説室 後藤 克幸 解説委員)
CBC論説室・後藤克幸解説委員

★キーワード「新しい医療事故調査制度」
 航空機事故調査のように国の制度としての事故調査制度が、医療の分野でも必要だという世論の高まりを受けて、10月から「新しい医療事故調査制度」がスタートしました。 ポイントは3点。(1)医療に起因する予期しない死亡事故があった場合、全ての医療機関で院内事故調査を行う。(2)第三者機関に医療事故の情報を届出る。(3)院内事故調査の結果は遺族に報告する。遺族が調査結果に納得できない場合は第三者機関に再調査を依頼できます。しかし、問題もあります。調査の対象が「予期しない死亡事故」と限定されたことです。病院が「この死亡は予期していたものだ」と主張すれば調査対象にはなりません。また、調査対象は死亡事故だけに限られるため、重い障害が残ったような深刻な医療事故でも調査ができません。さらに、調査結果を遺族に報告する際、文書で渡すのか口頭で説明するだけなのか、新制度にルールはなく対応は病院に任されます。医療事故の被害者支援にあたっている弁護士の団体「医療事故情報センター」では、「新制度のスタートにあたっては、日本全国どこの病院でも質の高い医療事故調査が行われるようガイドラインが必要だ」と訴えています。また、調査結果の遺族への報告についても、「文書による事故調査報告書を遺族に渡すのが本来のあるべき姿ではないか」と話しています。

教えて!ドクター

(名古屋大学医学部附属病院 手の外科 平田 仁 教授)

★10月のテーマ「手の痛み」
「腱鞘炎」
 「腱」というのは指の関節を動かすための道具で、筋肉の先にあります。筋肉は腕の中にあり、指の各関節まで腱が伸びています。筋肉が縮むと腱が骨を引く事で関節を伸ばしたり曲げたりします。曲げるための腱は屈筋腱といい、伸ばすための腱は伸筋腱といいます。それぞれが引っ張りっこをして曲げたり伸ばしたりしています。曲げる側のほうが力を使うので、腱鞘炎は曲げる側が多いのです。なかなかスムーズに動かない、なんとなく痺れ痛い気がする感じがして、悪くなると引っかかるようになります。腱鞘炎は不思議に薬指と親指に多く発生します。進行してしまい腫れが定着してしまうと、手術になるケースがあります。赤ちゃんにもなる病気です。腱の回りには腱鞘という「さや」があり、サイズがうまく合わないことがあります。大人の場合も体の構造上なりやすかったり、体質もあります。糖尿病の人は非常になりやすく、高血糖が原因でタンパク質が固くなり腱が滑らかに動かなくなり、腱鞘に引っかかるようになります。指の動きがスムーズにいかなくなってくるうちに、引っかかってきます。酷い人は5本全部動かなくなり、それから来る方は非常に治りにくくなります。早期発見が大切です。

スマイルリポート〜地域の医療スタッフ探訪

城所 史津子さん(糖尿病・内分泌クリニックTOSAKI 管理栄養士)

<管理栄養士としての仕事>
 外来で受診される患者さんに、医師からの指示で栄養指導を行ったり、糖尿病教室を開催したりしています。患者さんの待ち時間に、簡単なお食事の話をワンポイントアドバイスしています。
<食事で心掛けていること>
 食事療法が必要と診断された場合、一生味気ない制限された食事を食べるのかと、重い気持ちになる方もいらっしゃいます。食生活の楽しみが減らないように、丁寧に生活スタイルをお聞きし、頭ごなしに指導するのではなく、無理なく実践できる方法を患者さんと一緒に考えるように心がけています。
<心に残るエピソード>
 糖尿病の女性の方で、血糖値がなかなか下がらない方がいらっしゃいました。ご主人が心配して「食べろ。食べろ。」と色々買ってきてくれるとの事でした。ご主人の気持ちを受け取りながら、理解してもらう言い方や、対応などを一緒に考えました。紙の上の理想論だけを伝えるのではなく、ご本人の状況を理解し尊重しながら、できることを探して行く事が大切だと改めて思いました。
<今後の課題>
 現在はテレビや雑誌、インターネットなどで様々な健康に関する情報が提供されています。何かが良いと聞くと、その食品が売切れることもありますが、良いと言われる食品でも取りすぎはよくなかったり、ご病気をお持ちの方には、逆効果になることもあります。管理栄養士として常に新しい情報のアンテナを張り、医学的根拠に基づいて、その方にあったアドバイスができるように努力していかなければならないと感じています。
<スマイルメッセージ>
 糖尿病は、はじめのうちは自覚症状が殆ど感じられません。今はなんともないので大丈夫だ、と放っておかれる方も沢山いらっしゃいます。怖いのは血糖値が高い状況が続くことによる合併症です。いきなり理想的な食事療法ができなくても良いと思います。少しずつできそうなことをご紹介していますので、是非管理栄養士に御相談下さい。健康診断で、血糖値やヘモグロビンA1Cが高いと指摘された方や、治療を中断してそのままにしている方は、是非一度医療機関を受診するようにお勧めしております。